ごあいさつ

皆様には、平素よりきのくに信用金庫をお引き立ていただき、厚くお礼申し上げます。ここに第62期の事業概況についてご報告申し上げます。
令和7年度のわが国経済は、前年から続く大企業を中心とした堅調な企業収益を背景に、雇用・所得環境の改善や高水準の賃上げが継続するなど、緩やかな回復基調をたどりました。金融市場においては、10月の高市内閣発足に伴う政策期待から、日経平均株価が5万円の大台を突破する歴史的な局面を迎えました。一方で、米国のトランプ政権による通商政策の転換や、諸外国による自国優先の産業政策が先鋭化するなかで、世界経済が大きく揺らぐ一年となりました。また、長期化するロシア・ウクライナ情勢に加え、足もとでは米国・イスラエルとイランの間で直接的な軍事衝突が発生するなど、中東情勢はかつてない緊張状態にあります。エネルギー価格の高騰や物流網の混迷といったリスクが顕在化しており、先行きは依然として強い不透明感に包まれています。
このような中、地域経済に目を向けると、和歌山県では大阪・関西万博等を契機として、高野山や熊野古道といった聖地、さらに和歌山市周辺へのインバウンド需要が急増し、当地の魅力が世界へと発信される重要な一年となりました。その一方で、人口減少・少子高齢化に伴う市場縮小や人手不足という構造的課題に加えて、物価高騰や労務コストの上昇が中小企業の収益を圧迫し、実質的な利益改善は足踏み状態が続きました。今後は、さらなる原材料高や供給不足に加え、物価高が個人消費を冷え込ませるリスクも懸念されており、先行きを見通しにくい状況にあります。
このような情勢の中、当期は「中期経営計画 2025」を新たにスタートさせ、「お客さまからのありがとうが、私たちの喜び」を基本姿勢とし、「地域やお客さまからいちばんに頼られる存在」を目指し、資金繰り支援をはじめ、M&Aや事業承継、人材紹介、販路拡大など多種多様なニーズに応えてまいりました。また、まちづくりファンドへの投資や、和歌山大学との連携事業である「龍神村移住促進プロジェクト」、当金庫ソフトテニス部による出張指導教室など、地域との連携強化に積極的に取り組んでまいりました。
その結果、預金は期末残高で1兆980億円、貸出金は期末残高4,022億円となりました。収益面につきましては、経常利益が25億52百万円となり、当期純利益においても16億22百万円を計上することができました。自己資本比率は16.42%と引き続き高い健全性を維持することができました。
当金庫の果たすべき役割は、地域を支え続けることです。地域やお客さまが抱える課題にしっかりと向き合い、寄り添いながら、役職員一人ひとりが強い意識と責任感をもって、地域やお客さまの『夢をかなえるお手伝い』に真摯に取り組んでまいります。
これからも皆様のご期待にお応えできますよう役職員一同努力を重ねてまいりますので、尚一層のご支援とご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和8年6月
理事長 田谷 節朗